墓地と墓について
墓は、死体を埋葬したあと、そこに大きな石を重しとして置いて、死体が墓穴から出てこないようにしたものが起源だそうです。
全国平均で火葬が50%を越えたのは1935年(昭和10年)で一般的(○○家の墓)な墓が建立され始まるのは、せいぜい明治時代の終わり以降ということです。1970年でも20.8%が土葬されていたそうです。
つまり墓をたてるという事は一種の流行のようなものだと考えられます。それに加えて浄土真宗では墓が必要なものであるという認識は元々無いものです。
墓地には公営墓地、お寺が運営している墓地、石材屋などが運営する民営墓地、町会などが運営している墓地などがあります。新たな墓地の造成については基本的には認可していないそうです。墓地の認可は、現在存在する墓地の拡張する場合のみ認可しているそうです。ちなみに野田山墓地の周辺の土地は石材店によって買い占められているようです。
公営墓地と民営墓地と寺院墓地の違い
現在は墓地は市町村などの地方自治体による公営墓地と寺院などの宗教法人による墓地と公益法人による墓地しか認められていませんが、以前は民営の墓地や町会の共同墓地なども認められていたようです。
公営墓地は宗派、石材店などの制限はありませんし管理料の負担も必要ありませんが生前に申し込みすることはできません。金沢の場合、公営墓地が必ずしも安いということはありません。管理料の負担が無いですし石材店を自由に選べますので、同じ墓を建てる場合でも複数の石材店から見積をとれるので、結果的に墓の費用を安く出来るという場合が多いようです。
寺院墓地の場合は年間管理料もかかりますし、基本的にはお寺の檀家になる必要があります。檀家になると、お寺の娘さんの結婚やお寺の修繕などいろんな負担がかかってきます。また寺院墓地の場合は石材店が決められている場合も多く、結果的に墓の費用が高くつくという場合が多いようです。
寺院墓地の場合でも檀家にならなくて良い場合もありますし、宗派を問わないという場合もありますが、宗派の違うお坊さんを呼んで法要をしてもらう訳にもいかないので違う宗派の墓を建てるのは実質的に難しいようです。
民営墓地の場合は宗派の制限は無いですし、生前に購入することが可能ですが、年間管理料がかかりますし、石材店が決められている場合もあります。石材店が運営している墓地は、その石材店で墓を建てないといけないのが一般的です。
町会で運営している共同墓地は町会内の人しかお墓を建てることができません。
金沢市の公営墓地
金沢市では、公営墓地として野田山、卯辰山、内川を運営してますが、絶えることなく、常に墓地は用意しているそうです。但し、その時によって分譲している墓地は違うので、希望通りの墓地があるとは限りません。金沢市の公営墓地は生前に申し込むことはできません。
市営墓地を申し込む場合の基準として金沢市内に住所を有するということと、墓地に入る故人がいるということが条件です。その他に3年以内に墓を建てないといけないとか、墓地によって、墓の高さや土地を露出しなければいけない割合などの制限があります。
市営墓地の申し込みには、火葬証明書と、申請者(故人ではない)の住民票と市役所の所定の誓約書を提出しないといけません。火葬証明書は確認だけして、すぐに返却されます。火葬証明書は納骨時に墓の管理事務所に提出しないといけません。

その他の市営墓地のきまりとしては
使用者の住所が変わった時には届出が必要
使用者が亡くなったりした時には届出が必要
お骨を納めるとき、ましくは骨を他に移すときには届出が必要
お墓・囲い・生垣を設ける時に、また治す時には届出が必要
お墓がいらなくなった時には、届出が必要
許可証を紛失した時、届出が必要
墳墓の設置以外の目的に墓地を使用したとき、使用許可の取り消し
使用権を譲渡した時、または転貸した時には、使用許可の取り消し
使用者が死亡し、祭しを継承するものがない時、使用許可の取り消し
使用者の所在が不明となって20年を経過した時、使用許可の取り消し
などがあります。
墓地は土地の購入とは違う
お墓を建てるときには墓地を申し込みますが、墓地の場合は土地を購入する訳では無く、永代使用権を買うということになります。民営墓地や寺院墓地の場合、永代使用料を支払っても年間管理料を払わないと使用権が無くなる場合があります。
浄土真宗大谷派の墓について
金沢では先祖が浄土真宗大谷派のという人が圧倒的に多いのですが、もともと浄土真宗は墓については重要視してない宗派です。ですから墓をりっぱにすればよいとか、方角がどうとか、お墓の吉凶とかいう墓相という考えは浄土真宗にはありません。浄土真宗では墓参りより、盆、暮れ、両彼岸などにお寺さんに行って、念仏を称え、仏法を聞く仏事を重要視しています。
墓を重要視しないとはいえ、浄土真宗の墓というのは他の宗派と違う点がいくつかあります。
一般的には墓は、墓石、納骨棺、花立、香立、卒塔婆立(そとばたて)、外柵が必要とされますが、浄土真宗の場合は卒塔婆を飾らないので卒塔婆立は設置しません。浄土真宗では宝塔、五輪塔(灯篭とは別のものです)などの墓は設置しない事になっています。
金沢ではお盆にキリコを備えますので、キリコ架立が必要です。墓誌や灯篭、物置台などをしつらえる場合も多いようです。
浄土真宗の墓の正面は南無阿弥陀佛という文字を入れます。
墓石に刻む文字について
浄土真宗の墓の棹石(一番上の角柱の墓石)正面は南無阿弥陀佛の文字を入れますが、その他の建立者名、家紋、俗名及び戒名などの入れ方は諸説があるようです。
お墓の参り方
・お墓がお寺にある場合は、お寺に挨拶し本尊にお参りします。そして住職に挨拶します。お墓が霊園にあり管理事務所で管理している場合には管理事務所に挨拶します。公営墓地の場合や管理事務所が無い場合は管理事務所への挨拶は不要です。
・最初に手を洗い口を漱ぎ清めます。お寺にお参りする場合にはお寺にお参りする前に先に清めるのが正式です。
・全員で合掌してから、雑草取りなどお墓の掃除をします。合掌の時には両手の親指と人差し指の間に数珠をかけます。お墓に水をかけるのは、墓にとっても良くないので、濡れタオルで拭いて掃除するのが良いようです。故人が好きだったからといってお酒をかけるのはダメですし、洗剤を使って掃除するのも良くありません。隙間の掃除にはブラシが便利です。蝋燭の残りは金属でこじると綺麗にとれます。墓の台石には登っても良いですが、土足で登るのはいけません。
・花立に生花を飾り、線香や蝋燭をたきます。タバコのライターなどを使うのは好ましくないようです。花は仏様の慈悲の心をいただくことを意味していて、蝋燭の火(灯明)は仏様の智慧が闇を明るく灯すという意味があり、線香は不浄を清めるという意味があるそうです。
・全員で合掌礼拝します。僧侶がいればお経をあげていただきますが、僧侶がいない場合は、できれば三誓偈、嘆佛偈のどちらかを唱えると良いです。三誓偈、嘆佛偈は正信偈の経本にも掲載されていますし短くて単調なので唱えやすいです。
なお三誓偈、嘆佛偈はhttp://www.nagoya30.net/study/sutra/index.shtmlで聞けます。

・蝋燭の火は途中で消さないほうが良いようですが、火事になっても困るので、短時間で消えるような長さの蝋燭を使って消えるまで滞在するのが理想的です。時間に余裕が無い場合には帰るときに蝋燭を消してゴミを持って帰ります。火は息で消してはいけません。
・線香は浄土真宗の場合は立てないのですが、お墓では何本か束になった線香を立てても良いです。線香は巻いた紙の部分で消えますので、巻いた紙は線香の束がバラバラにならない程度に紙を剥いておきます。線香は火をつけたままで帰ってもかまいません。
埋葬について
墓に納骨、埋葬する場合には市町村が発行する埋葬許可証が必要になります。埋葬許可証は死亡届を出したときに発行されます。埋葬許可証は火葬する場合にも必要です。新たに墓を建てる場合は埋葬許可証は土台工事などをする場合にも必要なので石材屋さんが手続きをしてくれる場合が多いようです。
新たに墓を建てたときの法要
新たに墓を建てた時には僧侶による開眼法要が必要です。開眼法要はおめでたい儀式なのでお布施は紅白の祝儀袋を使います。開眼法要と納骨法要は同じ日に行ってもかまいませんが、開眼法要と納骨法要の僧侶への志はおのおのに必要です。
石材店には僧侶への志とは別に志を包むのが一般的のようです。
納骨法要にお墓に供えた供物は花以外は法要が終わったあとは持ち帰ります。
納骨は墓がある場合は四十九日を過ぎたころに行いますが、新たに墓を建てたときは特に四十九日に間に合わせないといけないということではなくて、墓ができてからでも良いです。
墓石の選び方
墓石に適した石材は耐久性があるのが一番です。耐久性がある石材は硬くてキメが細かく吸水性が少なく傷がないものです。値段が高い石材が良い石材ということではないようです。吸水性は水で濡らしてみて色が変わるかどうかで判断できます。
最近では人件費や加工費が安い中国の石材を、中国で加工してから輸入して、日本で文字を入れるという行程の墓石が多いようです。
囲い石(外柵)は中国産の「623(ろくにいさん)」という石材が圧倒的に多く使われているそうです。
分骨について
金沢の浄土真宗大谷派の納骨における分骨については分骨しないで全部を墓に納骨する場合と、2つに分骨して大きいほうの骨壷をお墓に納骨し、小さいほうの骨壷を菩提寺に納骨する場合と、小さいほうの骨壷を京都の東本願寺に納骨する方法があります。東本願寺では遺骨は他の人の骨と一緒に混ぜられるようです。
石材店の選び方
石材店とは墓を建てた後もつきあいが続くので、後々面倒を見てくれる石材店が望ましいです。
墓を建てない場合の供養について
家族みんなで墓参りに行くにも交通費や宿泊費がかかり、墓が傾斜地にあると年をとると墓まで歩くのも負担だし、草むしりや墓掃除のも重労働になる。一度、墓を建てれば、墓を片付けたい(墓じまい)するにも多大な費用がかかるし、墓を継承する子供の負担を考えて、お墓を建てないことを選択する人が増えているようです。核家族化が進展し、子々孫々で墓を継承するという社会的環境が失われ、無縁墓が増加しているのが現状のようです。
少子化や核家族化によって、墓の守り手がいなくなったり、子供達に墓の守り手としての負担をかけたくないとの事で、最近では現在ある墓を費用をかけて「墓じまい」して、永代供養墓や納骨堂に移す例も多いそうです。
納骨堂
屋内にロッカー型などの納骨収蔵庫を設けて遺骨を収納します。永代の契約になりますが、建物の老朽化に対する対処については、各施設によって違うので確認しましょう。基本的には遺骨を保管してもらっているという形態のようですが都会では多くなっているようです。納骨料の費用の他に年間管理料が必要な場合もあります。埋葬許可証は必要です。
永代供養墓
お寺などが将来無縁になる人やお墓参りできない人にのためにお寺が永代にわたって管理供養するものです。一般的には他の人と一緒の墓に納骨します。永代供養の料金を支払えば、一般的にはその後の管理費、お布施、寄付金などの費用はかかりません。金沢では法句寺が永代供養墓を運営していますが永代供養料の他に維持管理料が別途必要です。埋葬許可証は必要です。
共同墓
将来無縁になる人や志を共にする人達が会をつくり、自分の意思で他人と同じ墓に入って共同で合祀するものです。埋葬許可証は必要です。
自然葬
遺骨を海や空から散骨したり山に埋めたりして自然に戻すものです。土中に埋めたりや空から散骨する場合は骨を灰にしないといけなく、海から散骨する場合も骨の大きさに規定があるようです。法律的にも自然葬は認められています。
仏壇について
家族が亡くなられてから、故人を弔うために仏壇を購入する場合が多いのですが、元々仏壇というものは仏教徒の礼拝の場で本尊を安置して崇敬するためのものです。当然、仏教徒以外の人の家には仏壇はありません。仏教徒であるという意識が薄い日本人にとって、先祖供養を中心に考えるなら仏壇がなくても位牌で充分だと思います。
仏壇を維持できなくなって処分する場合には、閉眼法要を行う必要があったりして結構お金がかかります。